太陽キャンディ
突然の愕然






「……え、やめる?」

「おう」




季節は秋。
つい最近までテレビに映し出されていた甲子園が、やっと落ち着いてきた今日この頃。








沈みかけで沈まない、そんな夕日が眩しい時間帯。
練習は終わったわけではなく、グラウンドではまだバットの音と、野球部独特の声が響いている。




なのに、俺の相方はもう既に制服を着こなしていた。







「ほらよ、頼むな」
そう言いながら目の前に出された『退部届』。


それに今、俺は絶句していた。




「部長に南から渡してくんねぇ? 俺から行くと絶対止められるし、面倒なんだよ」

「…………」








まだ受け取れていない退部届。




出し方はあまりにも軽過ぎだと思ったし、この頼み方もまったく感心を感じない。


こんな微妙な季節に、いきなり退部なんてどうしたものか、と、聞いてやりたかったけれど。






目をパチパチと開け閉じを繰り返すだけ。
< 2 / 57 >

この作品をシェア

pagetop