【短編】タイムカプセル
「お姉ちゃん。どうして泣いてるの?」
しばらくして、声をかけてきたのは小さな女の子と男の子だった。
仲良く手を繋いで、男の子の空いている左手には、箱を抱えていた。
「ううん……なんでもないの。
それより、その箱なに?」
箱を指差すと、今度は男の子が得意気にいう。
「この木の下にタイムカプセルを埋めるんだ!!
そしたら、将来大きくなったら一緒に開けるの。ねっ!!」
うんっ!!ニコニコと笑う女の子は、昔のあたしに重なった。
そして、男の子も……。
──────マヤ
「………っ。」
微かに響いたタクヤの声……。
「気のせい……?」
そう、呟きながらも、あたしはどこかで違うと感じていた。
タクヤ……?