いちご牛乳。

理由が欲しい。

いつからかと聞かれると、正確に言うのは難しい。

佐伯さんは最初はただのお隣さんだった。
それがいつの間にか僕の中に入ってきて、知らない内に居座っちゃったんだ。

「居座ったって佐伯ちゃんから来たみたいだな、おい」
智紀の毎度の飽きれ顔。

「それしか表現のしようが無いんだよ。てこでも動かないぞこのやろうって感じ」
放課後、さっむい廊下での悩み相談は最近、定番になりつつある。

「このやろうとは言わないだろ、女の子なんだから」

「変な所紳士よねー、智紀くんは。ただの言葉のあやだよ。そんな勢いって意味」

はぁとまたまた定番になりつつあるため息を付いて、窓際に背中をあずけた。

「佐伯ちゃんのどこが好きなんだよ?」
同じく智紀もよりかかった。

「愚問だね。全部」
くるりと向きを変え、沈みつつある太陽を眺めるた。窓は寒いから開けない。本当は開けたい気分だったけど。

「全部って知ってんのかよ」

「知らない部分も含めて全部好きな自信が有るって意味。智紀ばか?」

心底呆れた顔して、智紀は「ごちそうさまです」と言った。

「で、告白すんのか」

片まゆを器用に上げて少し優しい口調で聞く。
気を使ってるんだろうが、気色悪い。
正直に言ったら殴られそうになった。

ちゃかすな、真面目に聞いてるんだとも。
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