ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「美羅、しっかりしろ!」


聖斗に肩をゆすられ
我に返る
でも、まだ意識がどこかに飛んでる感じ


そんな状態でも
聞きたいことも、納得できないことも
沢山ありすぎて
とにかく頭に浮かんだことを言葉にする。


「聖斗
このこと、知らなかったのは私だけ?」


聖斗は首を振り
「俺も詳しいことは分からねぇけど
多分、美羅と兄貴以外は
知ってるはずだ…
俺も知らないと思われてるだろうな」
と、肩を落とす。


「でも、それって変だよ。
だって伯母さんは
私に優斗か聖斗と結婚して
娘になってほしいって言ったんだよ。

私と聖斗が、本当の兄妹なら
そんなこと言うはずないよ」


私は微かな可能性を
探らずにはいられなかった。

でも、聖斗の表情は、曇ったまま…


「美羅、よく思い出してみろよ。
お袋は、一度でも
俺と結婚しろって言ったか?
兄貴の方がいいって言わなかったか?」

「あ…」


聖斗の言う通りだ…
伯母さんは、初めから優斗のことばかり
聖斗のことは否定してた…


言葉を失い、俯く私の頭を
聖斗が優しく撫でてくれる。


「俺はお袋には感謝してるんだ…
妹とはいえ
自分の旦那の愛人の子の俺を
実の子同然に育ててくれた。

この手紙を見つけた時から決めたんだ。
お袋の望みは
出来る限り叶えてやろうって

だから
薬剤師になってほしいって言われた時は
言われるまま薬学部を受けた」


そう言われれば
思い当たることは多々あった。


家族で意見が分かれた時
聖斗はいつも伯母さんの味方してた。


「せめてもの罪滅ぼしさ…
でもな、一度だけ
お袋の言ったことに背いたことがある」


そう言った聖斗は
少しだけ微笑んだ様に見えた。


「いつ?」

「大学受験…
兄貴と同じ、国立に行ってくれって言われてた。
でもな、俺は試験でワザと手を抜いた…」

「どうして?」

「分かんねぇか?
理由は、美羅…お前だ…
約束しただろ?
美羅の側に居るって…
ずっと、一緒に居るって…
美羅と、離れたくなかったんだよ」

「聖斗…」






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