ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「泣かない…よ」


強がって、そう言ったものの
ホントは
もう既に、泣きそうだった…


「なぁ、知ってるかー?
ここの海って
サザエやアワビ取れるんだってー
バーベキューする時
食べたいよな?」


優斗がそう言うと


「あー、由香食べたーい!!」


由香ちゃんの甘えた声に
男の子たちは
色めきだつ


「じゃあ、取ろうぜ!!」

「おう!!」


バカみたいに
潜りだす男の子たち…


優斗までが
その気になってる。


「アイツら、バカじゃね?」


聖斗は苦笑いを浮かべ
砂浜に、ゴロンと寝転んだ。


やっぱり…
海なんて、嫌いだ…


結局、サザエもアワビも採ることは出来ず
優斗たちは海から上がり
夕飯のバーベキューの用意を始めた。


火を熾すのも、一苦労
この調子じゃ
夕飯にありつけるのは
いつのことやら…


テントの横に座り
ため息をついていると
隣のテントから
歓声が上がった。


「凄いじゃない!
こんな立派なアワビ
どこで採ってきたの?」

「凄いだろー
あっちの磯で採ってきたんだよ。
美味そうー」


あっちの…磯…?


男性が指差す岩場に
私の目は釘付けになった。


あそこに行けば貝が採れるんだ…


優斗に、こっそり教えてあげようと思った。
いつもの私なら
きっと、そうしてた…


でも、由香ちゃんへの嫉妬心が
私の思考を乱していく…


私が採ってきて
由香ちゃんに自慢してやるんだ…
そうしたら
優斗も私を見てくれる…


そうだよね…優斗…




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