ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

突然の告白


どの位、私と聖斗は
岩場に居たんだろう…


「美羅、もう帰ろうぜ」

「んっ…もうちょっとだけ…」


いつしか水平線の向こうには
茜色の夕焼けが
一日の終わりを告げようとしていた…


「おい!いい加減にしろよ。
暗くなってきただろ…
帰るぞ!!」


聖斗に怒鳴られ
私もようやく諦め
立ち上がる。


手を引かれ
ゆっくりと薄暗い岩場を戻っていく
すると突然、聖斗が足を止めた。


「あっ…」

「何?どうしたの?」


聖斗の視線の先に目をやると
そこには
今まであったはずの岩場がなくなっていた…


満ち潮になり
岩場は海の底に沈んでしまっていた。


リアス式の海岸線
優斗たちが居る砂浜からは
大きく突き出した岩山が邪魔をして
ここは、見えない…


おまけに岩場のすぐ横は
切り立った断崖絶壁
むき出しになった岩肌を登ることは不可能


「聖斗…どうしよう…」


不安げに声を震わす私の手を
強く握り締めた聖斗は
「大丈夫だ」と
唇を噛みしめる。


きっと、聖斗も途方に暮れていたはず
それでも私を気遣い
平静を装っていたんだと思う。


「とにかく、潮のこないとこへ行こう…」


さっきより岩場が小さくなってる…
ジリジリと迫ってくる波に押され
逃げ場を失う私と聖斗


すると、見上げた崖に少しの窪みを見つけた。


「あそこだったら
2人座れるかもな…」


聖斗に抱き上げられ
崖をよじ登る。


その時…
「痛てっ…」
聖斗の小さな声が聞こえた。


「聖斗?」

「な…なんでもない」


そう言って、私の横に座った聖斗を見た私は
一瞬、固まって言葉を失う…






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