ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「これが…この赤ちゃんが…聖斗?」

「そう…
子供を流産した薫は
精神的に、まいっちゃってね。

変なことを口走る様になってきて…
『私の赤ちゃんはどこ?』とか
『泣き声が聞こえる』とか…

あの子は
子供を産んだつもりになってた」

「そんな…」

「心配になった私は
薫を精神科に入院させたんだよ」


ママは心を病んでいた…?


「中々、回復しなくて…
よっぽどショックだったんだね…」


この時、初めて京子さんの目に
光るものを見た。


・・・


…何ヶ月もの入院生活。
回復しないママの気分転換に
外泊許可を貰い
久しぶりに、ママをこの家に連れ帰った京子さんは
大きなミスを犯した。


子供の誕生報告に送られてきたハガキを
居間のテーブルの上に置きっぱなしにしていたのを
すっかり忘れていた。


もう一つの…命


ママが妊娠する2ヶ月も前に
伯母さんは妊娠してたんだ…


伯母さん自身が
妊娠していることに気付いた時には
既に、伯父さんとママは愛し合うようになってた。


「そんなことって…」

「運命とは残酷なものだよね…
私は、美津子の妊娠を薫に言えなかった。

美津子には
薫が入院してると伝えてあったから
ハガキを送っても大丈夫だと思ったんだろうね…」

「それで…ママはこれを見てどうなったの?」

「うん…
まだ自分の子供は生きてると思ってた薫は
そのハガキの写真の子供が
我が子だと思い込んでしまって…

幸次さんと美津子が
自分の子供を奪っていったって
半狂乱になってしまってね。
それが、2通目の手紙の真実だよ」

「じゃあ…
聖斗は…伯父さんと伯母さんの子供…?」

「そうだよ。
聖斗は、正真正銘
幸次さんと美津子の子供だよ」

「なら、私と聖斗は…」

「もちろん。ただのイトコさ。
兄妹なんかじゃないんだよ…美羅。
聖斗を好きになっても
なんの問題もない」

「あ…」




---- 禁断の呪縛から
解き放たれた瞬間だった… ----










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