ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

次の日


昨夜はお風呂に入り
そのまま、すぐ寝てしまった。


今日は何度も聖斗と顔を合わせてたけど
なんか気まずくて
お互い会話らしい会話は無かった。


夜の10時過ぎ
一度はベットに入ったものの
聖斗のことが気になって眠れない…


私はまだちゃんと
お礼もお詫びも言ってない。


そして、何より聖斗に
確かめたいことがあった。


部屋を出て
隣の聖斗の部屋の前に立つ


これは聖斗の癖なんだろうか…
いつも、ほんの少しだけ
ドアが開いてる。
ちゃんと閉まってるのを見たことが無い。


ドアの隙間から
中を窺うと
ベットにもたれ掛かりマンガ本を読んでる
聖斗が見える。


私はドアを軽くノックして
「入ってもいい?」
と、尋ねた。


「えっ?あぁ…」


左手には包帯が巻かれ
痛々しい…


聖斗の前に座り
ペコリと頭を下げ
「ごめんね」と、言うと
聖斗は私に視線を向け
「別に…」と、答える。


「手、痛くない?」

「うん」


ダメだ…
会話が続かない…


「あの…聖斗…」

「…兄貴の部屋へ行くんだろ?
もう、行けよ」

「えっ?」

「今日も兄貴の部屋で寝るんだろ?」


聖斗は気付いてたんだ…


「知ってたの?」

「俺の部屋の前通ってくの見えてたからな…」


どうしてだろう…
凄く嫌な気分。


すると聖斗は
マンガ本をパタンと閉じて
「俺、もう寝る。
じゃあな…」
と、ベットに潜り込んでしまった。


ホントは、昨日聖斗が私に言った言葉は
本気だったのか確かめたかったのに…


仕方なく部屋を出た私は
この前まで毎日のように訪ねていた
優斗の部屋を見つめる。


もう、あの部屋には…行かない…


それが、幼い私が下した決断だった…





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