ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「聖斗のこと、聞いた?」

「あっ…結婚のこと?」

「そう、美羅ちゃんの居ない間に色んなことあってね
聖斗、結婚することになったのよ」

「…らしいね」


精一杯の笑顔で答える。


「でもね…
口は悪いけど、今まで割と素直で
言うこと聞いてくれてた聖斗が
今回の結婚に関しては
ホント、頑固で
誰とも結婚しないなんて言って

でも、やっとあの子も分かってくれてね。
わがまま言ってる場合じゃないわよね…
向こうの親御さんは怒りだすし
何より
相手のお嬢さんに辛い思いさせて…

聖斗も大人なんだからね。
責任は取らないと…」

「うん…」

「あぁー…でも…
私も、もうすぐお婆ちゃんよ!
孫なんて、まだまだ先だと思ってたから
楽しみだわ」


伯母さん…嬉しそう…


複雑な思いが交差して
私の胸は、押し潰されそうだった。


・・・


伯母さんの付き添いを始めて3日。
伯父さんは仕事の終わった夜
毎日顔を出し
優斗も時間があると
昼間でもお見舞いに来てた。


そして、ほぼ1日中、一緒に病院に居てくれた
京子さんは、取りあえず一度
名古屋に戻ると
昨日帰って行った。


なのに、聖斗は…来ない。


この、物足りない気持ちは
なんなんだろう?


その方がいいはずなのに
会いたくないはずなのに


私は聖斗を待ってるんだろうか…


今日も雨
灰色の空から降り続く雨は
止むことを知らないみたいだ。


夕方の検温が済むと
伯母さんはウトウトしだし
私は遅い夕食を食べようと
談話室に向かった。


誰も居ない静かな談話室
コンビニで買った冷たいおにぎりを頬張る。


コトッ…


後ろから私の目の前に
ペットボトルのお茶が置かれた。


「えっ…」

「飲めよ…」


背後から聞こえた声は…




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