ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

暫しの間、おしゃぶりを銜えた瑠菜ちゃんを抱き
玄関に立ちつくしていた。


こんなに小さいのに
赤ちゃんって、意外と重いんだ…


取りあえず、クローゼットから毛布を取り出し
リビングの絨毯の上にひき
そこに瑠菜ちゃんを寝かせた。


おしゃぶりを吸いながら
無邪気に自分の手を目の前にかざしてしは
それを不思議そうに眺めてる。


こんな子って
何考えてるのかな…


私も一緒になって
瑠菜ちゃんの横に寝ころぶと
彼女の仕草を観察する。


可愛い…


ホントに、可愛い…


私でも、そう思うんだから
聖斗はもっと可愛いんだろうな…


「瑠菜ちゃん…
私ね、あなたのパパが…大好きなの
でもね、瑠菜ちゃんには敵わない…
私、フられちゃったんだ」


瑠菜ちゃんの頭を撫でながら
そう言うと
彼女は私を見て、ニッコリと笑う。


その笑顔を見て
なぜか涙が溢れ出し
瑠菜ちゃんを胸に抱きしめ
声を殺して泣く。


聖斗…


この子の体には
聖斗と同じ血が流れているんだよね…


聖斗に触れることは出来ないけど
こうやって、瑠菜ちゃんを抱いてると
聖斗と居るみたいな気がするよ…


とっても、温かい…


「うぅぅ…、ふぇ~ん」


突然、泣きだす瑠菜ちゃん。


えっ?えっ?何?
どうして泣いてるの?


しんみりした気持ちもフッ飛んで
私は理絵さんから渡されたメモを手に取る。


オムツ?
それとも、お腹すいてるの?
あぁ、ミルクの時間みたいだ…


え…っと、哺乳瓶に熱湯を少し入れ
粉ミルクを溶かして
湯ざましを220㏄まで入れる…

えぇ!!湯ざましって…
そんなの用意してないよー!!


ここからは、グズる瑠菜ちゃんとの戦争だった。
パパのこと好きなんて言ったから
怒っちゃったの?


夕方、理絵さんが瑠菜ちゃんを迎えに来た時には
私はグッタリ疲れ果て
ボロボロだった…


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