ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「由香さんと言ったね…
君の話しは、また後で聞かせてくれるかね。
優斗の顔を見てきたいんだ」


伯父さんは、そう言うと
私の肩を強く抱く


「あっ…すみません。
自分のことばかり話してしまって…」


申し訳なさそうに一歩下がる由香さんに
私は軽く会釈すると
優斗の病室に向かう。


伯父さんは、私に気を使ってくれたんだ…

こんな話しを聞かされた私は
さぞかしショックを受けてると思ったんだろう。


ベットに横たわる
痛々しい優斗の姿


痩せ細り
私の知ってる優斗とは別人のよう…


何が優斗を
ここまで追い込んだのかは
聞けなかったけど


死を選ぶほど、悩み苦しんだんだもん
優斗…辛かったんだよね…


そんな優斗の顔を見つめていると
複雑な思いが私の胸を締め付ける。


由香さんは、優斗を責めないでと言ったけど
責めを受けなきゃいけないのは
私の方なのかもしれない。


私は優斗の妻なのに
なんの支えにもなれなかった。
それどころか、優斗の居ない間に
聖斗と不倫してたんだ…


ごめんね…
「…優斗」


そっと、優斗の頬に触れると
瞼が震える様に反応した。


「……ら、」


酸素マスクの中で籠る優斗の弱々しい声


「優斗?私のこと、分かる?」

「み…ら、ご…めん」


一筋の涙が、優斗の瞳から流れ落ちる


「いいの…いいんだよ。
優斗が生きててくれただけで十分。
早く元気になって…優斗」


私がもっと、優斗のこと知ろうとしてたら
抱えてた悩みを話してくれてたのかな?


私が、本気で優斗を愛していたら
こんなことににはならなかったのかな?


これは
優斗という夫が居ながら
聖斗を愛し続けた
私への罰なんだろうか…

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