ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

そして夏休みに入り
上杉君とは、お互いの家が遠いこともあり
さすがに毎日会うことは出来なくなったが


3、4日に一度は、待ち合わせて
ランチしたり
ショッピングに付き合ってもらったりして
楽しく過ごしていた。


でも、今日は『女子会』
智可と恵美里が
私の家に来ている。


「で、話しって、何?」


やっと、エアコンが効いてきた私の部屋で
アップルジュースを飲み干した恵美里が
不思議そうに尋ねてくる。


「うん。実はね…上杉君のことなんだけど…」


上杉君の名前が出たとたん
2人は身を乗り出し
興味津々


「上杉君が、どーしたの?」

「あ、あのね、昨日会った時言われたんだけど…
今度の土、日
彼の両親が、支援者の人たちと
一泊二日で親睦旅行に行くんだって…
だから…その…」


口ごもる私に
感のいい智可が
「ふう~ん」と、小さく笑う。


「美羅に泊まりに来いとか、言ったわけ?」

「えぇー、智可凄い!
なんで分かったの?」


すると智可は、呆れた様に目を細め


「そんなの、誰だって分かるよ。
そっかー、上杉君も
そろそろ行動開始ってことか…」
と、ニャッと口角を上げる。

「行動…開始?」

「そっ!
2人の仲が、もっと親密になる…」


智可の言いたいことは
男女関係にウトい私でも
なんとなく理解できた。


「やっぱり、そうなのかな…
ねぇ、私、どうしたらいい?」


私は本当に迷っていたんだ…


「美羅は上杉君のこと
真剣に好き?」


恵美里の言葉に
少し、ドキッとした。


"真剣に…好き"
好きなのは、間違いない。
上杉君と居ると楽しいし
会えない時は寂しい…


これって
真剣に彼が好きってことだよね…


この時の私は
自問自答しながら
まだ心の片隅に残っている
聖斗への想いを
打ち消そうとしていたのかもしれない。



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