私(獣師)と、あいつ(神獣)




「ただーいまー・・・・。」







ドアを、ガラガラと横に開け、靴を脱ぐと








「お帰りなさいませ、姫様。」









「九ちゃん・・・・・。」








九ちゃんの、白い手が伸びて来て、私の鞄をさらっていく。









「ごめん、九ちゃん。私の部屋にそれ、持ってっといて・・・・。」








額を押さえながら、居間に薬を取りに行こうとすると、九ちゃんが私の腕を掴む。









「え、姫様どうかなさいましたか?顔色が悪い様ですが・・・・・。」







「うん、ちょっと夏風邪っぽい・・・・。」







「な、夏風邪ですか!?それは大変です。ささ、早くお部屋に!」










九ちゃんは、私の言葉を聞いて慌てて私の部屋の方向へと、背中を押した。



「薬取ってから行く・・・・。」






「後で私が持っていきますから、姫様は一刻も早く自室へお戻り下さい!」






「うー・・・・。」








中々進まない私に焦れたのか、九ちゃんは素早く私の鞄を片手に通し、私を横に抱える。










「えぇっ!?ちょ、九ちゃん、平気だってば!」






「ダメです!夏風邪は、一度こじらせるとしつこいものですから、早い内に治しておかなければなりません!」










流石九ちゃんと言うべきか、余り揺れは無く流れる様に、私を抱えながら進む。
そして、あっという間に私の部屋に着き、九ちゃんは私を優しくベットの上に乗せて






「どうしてもっと、早く言わなかったのですか!ほら、姫様。ちゃんと肩まで布団を被って下さい!」







布団を、頭近くまで上げて、軽くポンポンと叩いた。






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