失踪1016
―時は廻り―
十年前の10月16日。
小説の大賞の発表の日であり私の運命の日。
あいにくその日はクラス別旅行で、私は旅先のTDLで発表をまっていた。
張り詰めた緊張が高まる。
みんながアトラクションやパレードを楽しむ中、私は一人、携帯の画面にかじりついていた。
五回目の挑戦。
高校三年、最後の夏。
これで駄目なら大学へ進学し教師になると親と約束をかわし全身全霊で書いた。
正直、作家になるのを諦めて親の敷いたレールの上を歩むかどうか迷った時期もあったし、書いても書いてもよい作品が書けず心が折れてしまうことだって何回もあった。
けれどそれでも書くことを諦めなかったのは、彼がどんなときでも笑って読んでくれていたから。
彼―…字鞠彰のためにも、今回は大賞がどうしてもほしい。
そんな思いからか携帯を持つ手に力が入る。
彰とはクラスが別なので結果がわかりしだい報告することになっている。
Am10:00
発表の時間。
指先の震えを抑えながら
私は編集社の発表のホームページにログインした。
十年前の10月16日。
小説の大賞の発表の日であり私の運命の日。
あいにくその日はクラス別旅行で、私は旅先のTDLで発表をまっていた。
張り詰めた緊張が高まる。
みんながアトラクションやパレードを楽しむ中、私は一人、携帯の画面にかじりついていた。
五回目の挑戦。
高校三年、最後の夏。
これで駄目なら大学へ進学し教師になると親と約束をかわし全身全霊で書いた。
正直、作家になるのを諦めて親の敷いたレールの上を歩むかどうか迷った時期もあったし、書いても書いてもよい作品が書けず心が折れてしまうことだって何回もあった。
けれどそれでも書くことを諦めなかったのは、彼がどんなときでも笑って読んでくれていたから。
彼―…字鞠彰のためにも、今回は大賞がどうしてもほしい。
そんな思いからか携帯を持つ手に力が入る。
彰とはクラスが別なので結果がわかりしだい報告することになっている。
Am10:00
発表の時間。
指先の震えを抑えながら
私は編集社の発表のホームページにログインした。