この想いを君に… −三つ子編−

− 泰樹 −

僕は4月上旬に所属していたプロダクションを辞めてフリーで歌っていた。

「あの…」

それは雨が降る6月中旬。

駅の高架下で歌っていたら中年の女性に声を掛けられた。

「君、Nプロにいた子だよね?」

「はい…」

話を聞くとその人は若手のストリートミュージシャンを応援していて、最近プロダクションを設立した忠岡 まりというプロダクションオーナーだった。

「良かったらうちに来ない?」

前々から僕に目を付けていたらしい。

「君が好きな世界を…表現してくれたらいいから」



その言葉を信じて僕はまりさんの元へ行く事にした。
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