ダンデライオン~春、キミに恋をする~

ドキン

ドキン


さっきからずっとうるさい心臓の音。



……。


うう。
苦しいよ……。

抱きしめられた時の、響の体温が忘れられなくて紙袋ごと、あたしは自分の肩を抱いた。
ずっとずっとあたしの体に残ってる温もりが、さらに想いを加速させる。




……好き。

あー好きすぎるっ!
もぉお、大好きだよ。


本当なら大声で言ってしまいたい。


だけど、響にとっては迷惑な話で。
だって、こうして響といれることだって『彼の気持ち』をあたしがわかってるから。


でなければ、きっと一緒にはいられないんだ。


あの日に出会ったのが、あたしだったから。

『偶然』だってこと、忘れちゃダメなんだ。


だから、さっきのはあたしの勘違いだ。
たまたま、抱きしめられる形になっちゃっただけだし、あたしがジッと見つめてたから響は困ってただけだ。



『俺は優しくなんかないよ』

あの日、音楽室でそう言った響。
なんであんなに哀しそうそうだったんだろう。


やっぱり、泉先生との事があったから?



「……」




響が二度とあんな哀しい想いをしないで済むように。
あたしが頑張らないとっ。


おーしっ!
椎菜、この夏の目標決まりましたっ!




1人決意を新たにしたあたしを乗せて。



七夕の夜。

バスは行く――――……。


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