ダンデライオン~春、キミに恋をする~


ジ――。


それにしても。
あの夢……リアルというか、なんというか……。

もし、本当に響とキスするとしたらあんな感じなのかなぁ。




「……俺の顔なんか付いてる?」

「へっ!?」



って、うわあああ!

あ、あたしってば、無意識のうちに響の唇見つめまくってたし!



「な、なんでもないよ! なんでもっ」

「……、ふーん?」



両手を前にバッと突き出して、大げさに振った。
そんなあたしを見て、響は少しだけ口元を緩めると、フッと笑った。




うう。
……泣きたい。






それから、また海の家であたし達はめまぐるしく働いた。人足は途絶えることはなくて、息を付く間もない。



あっつーい!

着ていたTシャツも汗びっしょり。

手の甲で額の汗をぬぐうと、人が入り乱れてる店内を見渡した。



今日は土曜日ってこともあって、いろんな人がいる。
お客さんが多い分、あたし達みたいなバイトも多いんだけど……。




「……すごい」



< 186 / 364 >

この作品をシェア

pagetop