ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「しぃな?」



いつまでも答えないあたしを不思議に思ったのか、腰を低くした響と目線が同じになる。


首を傾げるように覗き込んできた、響のまあるい瞳の中にりんごみたいに真っ赤になったあたしの顔が見えた。



「あ、ごご、ごめん……」



見られてたんだ……。

さ、最悪だ……。
恥ずかしすぎる!



シューって感じでどんどん真っ赤になるあたし。

耐え切れなくてうつむいたあたしを見て、響が首を傾げたのがわかった。



「――おい」

「……っわ!」



――と。
いきなりあたしと響の間を裂くようにやけに筋肉質な腕が割って入ってきた。


驚いて、またバランスを崩しそうになったトレーは、響によって持ち上げられてしまった。



「……」



『ありがとう』って言いかけた瞬間、固まる思考回路。



え……なんで……。




抹茶パフェは響の顔の位置まで上げられてて。
だけど、あたしの目を引いたのはそれじゃなくて……。

響が目を細めたのじゃなくて……。



「健吾! ど、どうして……」




そう。


あたしの声に反応して視線だけを落としたのは大野健吾。

腰で履かれた制服のズボン。
緩められた青いネクタイは1年生の証。

きっちりセットされた真っ黒な短髪が、キラキラしてる。



「おーす。来ちゃった、センパイ☆」



……。


にっこりと満面の笑みをあたしに向けて、大野健吾はピースサインをして見せた。



うっ

なんかめんどーな事になりそう……。

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