ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「シィ~、かーえろっ」


HRが終わって、ショウちゃんが教室から出て行ったのと同時に、沙耶が駆け寄ってきた。


「ね、ね。駅前に新しく出来たカフェ行こうよぉ。そこのワッフル超美味しいんだって」

「行く行くっ。……って、ダメだ! あたし日直だった」


机の中から日誌をだして沙耶に見せた。


「ごめん~。先帰ってて?」

「残念。じゃ、夜またメールするね」

「うん、バイバイ」


沙耶に手を振って、あたしは日誌と向き合った。

ここはテキトーに。
って、訳にもいかないんだよね。


ショウちゃん、意外としっかり見てるというか。

毎日の日誌に、まめにコメントを添えていた。




教室に残っている生徒が、掃除当番だけになっていた。

少しだけあいた窓から、ひんやりとした空気が風に乗ってあたしの頬をかすめる。

遠くから部活動にいそしむ生徒たちの声がする。


誘われるように窓の外に視線を移すと
そには葉を落としてしまった、桜の木があった。

よく見るとその細い枝の先に、小さな蕾が膨らんでいた。


もう春の準備はじめてるんだ……。

誰も教えてくれないのに、ちゃんと季節が巡れば人々を魅了する満開の花びらを咲かせるんだから。



すごいなあ……。



ぼんやりと外を眺めていた、その時だった。


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