恋人はトップアイドル

初めてのキモチ SIDE 輝

「昨日、ありがとう。」

リハーサルの途中、10分休憩に入ると、優美はそういった。

「あー、大丈夫だったか?」

実をいえば、あのあとも優美とあの男の姿がチラついていた。
聞いてみたいが、かっこ悪すぎて出来やしねえ・・。

「うん。健人とかがきちんと処理してくれてたし、輝のおかげでだいぶ早めに学校に行けたから。本当に助かったよー。」

優美は本当に、安堵しているようにため息をついた。

しかもまた、「健人」・・・。

苛立っても仕方ないのに、ひどく気持ちがざわつく。

「結局、なにがあったんだ?」

俺はさりげなく、聞いてみた。

「あー・・」

優美は一瞬、迷うように目を泳がせて、でも決心したかのようにこっちを向いた。

「あのね、あたし生徒会長やってるの。」

「生徒会長!?・・おい、すげえな・・。」

あの進学校で生徒会長って・・・、マジで優美頭いいんじゃん。

「で、うちの学校ちょっと頭おかしくて、ああ先生たちがね、生徒会のこととか全部生徒任せなの。だから色々大変で・・。」

優美はそこで、本当に困ったように、ため息をついた。

「昨日が、学校自体が春休みに入る最後の日だったから、昨日中に提出しなきゃいけないのがあったんだけど、そのデータがなぜか消えてて・・。それで健人が急いで電話くれて。」

「そっか・・、ま、よくわかんねえけど、大変そうだなそりゃ。」

生徒会、というか、学校生活自体よく知らない俺は、そう言う以外になかった。

「健人ってのは・・、生徒会の仲間なのか?」

ここで俺は思い切って、昨日校門で見たあの男について聞いてみた。


< 76 / 254 >

この作品をシェア

pagetop