[短編]アスタラビスタ
「冗談!ウソだよ!困らせてごめん」



顔を上げた涼は笑顔だった。
…嘘の笑顔。



「涼…」


「ハル、そんな顔するなよ!最後のデートなんだぞ!」



わざと明るく振る舞う涼。
そんな涼を見ていると涙を堪えきれなくなってしまう。



「涼…ごめん、ありがとう…」



いろんな意味を込めた“ごめん”と、今までの全てに“ありがとう”。



「謝るなよ。ハル、俺はこれからもずっとハルのこと好きでいるから」



そう言って涼は私にキスをした。


最後のキスは熱くて…そして切なかった。


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