キミと太陽と飛行機雲
2:ひとさしゆび
キミが来なくなった。
そのことは、無自覚だった私に気付かせるほど、周囲の話題となった。

「別れたの…?」

控えめに、幾人にそう尋ねられただろう。
その度に私は同じ言葉を返した。

「そもそも付き合ってないよ?」

そう答えると大抵の人は困惑した表情を浮かべ、「あ、そうなんだー」とか判を押したように返してくる。
そうなんですよ。
私も胸の裡で、溜息混じりにそう言うしかない。
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