む☆げん愛


『でもね、私が早坂君と話したかったのはそのことじゃないの。

サキがね、気にしてるのよ。ずっと……。


あんな逃げるみたいに自分が突然いなくなってしまったこと。


なんの話し合いも持てなかったこと。


早坂君が自分を責めてないかってこと。


早坂君がもし自分のせいだと思っていたなら、それは違うってこと』




それって……




サキさんはまだ早坂さんのことが好きなんじゃないのかな。




『勝手なこと言ってんじゃねーよ、あいつ…

サキと話がしたい。

会ってきちんとしたい。

どこに行けば会える?』





―ドキィンー





『会うのは難しいわ。

サキに自由なんてないもの。

でも……そうだ!うちに帰ってくる日があるの。少しの時間だけど』




―ドックン、ドックン―





心臓が激しく脈うつ。





時間が止まったままの私は置き去りで、再会の約束はとりつけられた。





ついにこんな日がきてしまった。





約束の日がこわい。





いったいどんな話をするんだろう。





私たちはどうなっちゃうんだろう…――。





カフェを出ると、早坂君変わったね。って梶山先生がポツリと呟いた。





私にはなんのことだかわからなかったけど、早坂さんはこいつのおかげって頭に手を乗せてくれた。





その言葉をどんな風に受け取ればいいのかわからない。





不安はつのるばかり。




だけど、再会することで早坂さんの気持ちが楽になれるのなら。




私は信じて待とう。



それしかできない。

  




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