む☆げん愛
お母さんが運転する車内では、一言も言葉を交わさずに帰宅した。
自分の部屋へ向かおうと
階段の手すりに手をかけたとき、
「愛音ちゃん。お母さんは応援してるから!やっぱり国立大学よねぇ。ウフフ」
黙ってうなずくと、駆け足で2階に上がる。
部屋のドアを後ろ手で閉めると、そのまましゃがみこんだ。
ドクドクと鼓動が早くなっていくのを感じる。
《今度こそ駄目…》
拳にぐっと力をこめる。
唇をキュッと噛みしめると目頭が熱くなっていくのがわかったが、
涙を必死で抑える。