片思い?両思い?


「理沙!」

愛しい人の声。

私はそっと目を開けた。

「・・・いま君」

「え?」

隆平といま君の顔が・・・・重なる・・・。

「隆平が・・・いま君?」

私の言葉に目を見開く隆平。

「理沙・・・記憶が・・・?」

「・・うん・・・大体なんだけど・・・」

「・・・そうか」

私の手を握り締めている隆平。

優しい笑顔。

・・・あのころと何も変わってない・・・。


頭がなんだかとても重い。

記憶が戻ったからかな・・。



コンコン

部屋にノックする音が聞こえて

「理沙ちゃん?」

顔を出したのは

「暁先生」

「気分はどう?」

「はい・・・大丈夫です」

「ビックリしたよ。院長室をでたら理沙ちゃんが倒れてたから・・・」

心配そうに私の顔色を診てくれる。

「顔色もいいし、大丈夫かな?」

思い切って聞いてみよう。

「あの・・・暁先生」

「うん?」

「私のお兄ちゃんは・・・・自殺だった?」

一瞬大きく目が見開いて、

「記憶が戻った?」

優しい声で聞いてくれた。

「・・・はい」

「・・・・そう・・・」

何かを考えていたみたいだけど

「そろそろ本当の事を話したほうがいいかな」

本当のこと?

「理沙ちゃん、今日時間ある?」

「あ、はい」





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