とりかえっこしようよ
 その日の夜、和也から電話がきた。



「樹、まだ光と連絡取り合ってたのか?」


「まあね」


「お前、光のこと、好きなのか?」



 相変わらず、和也は直球勝負だ。



「だったら、どうする?」


「どうもしない。俺は光に告白したけど、お前も好きにすればいい」


「……いいのか?」


「だって、お前どうせ横浜だろ。次また4月にどっかへ引っ越すんだろ?」


「まあ、そうだけど」


「お前じゃ無理だよ。俺、この3年間、必死で光の害虫駆除やってたんだぞ」


「そうだったのか、やっぱり」


「俺、高校は光と同じところへ行けない。だから今のうちに光は俺のものだってけん制しておきたかったんだ」




 僕は眠れなかった。


 ひかりちゃんと和也が並んで歩く姿を想像した。


 胸が痛い。



 でも、和也以外の誰かとひかりちゃんが付き合うのは、もっと我慢できなかった。


 和也は、ずっとひかりちゃんのことが好きだったんだと思う。


 あいつなら、ひかりちゃんを泣かせるようなことはしないだろう。


 きっと、ひかりちゃんのペースに合わせて、ゆっくりゆっくり、進んでいくんだ。




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