とりかえっこしようよ
告白~再会編2・side光〜



「きゃうん!くうぅん!」

 ハリーが力強くリードを引っ張って、私をいっくんの方に引き寄せる。


 尻尾はブンブンと振られ、跳ねるように前進している。



「あっ!ハリー!?」


 いっくんのジーンズに飛びかかり、彼の周りをぐるぐる。




「ハリー、俺のこと覚えててくれたのか?」



 しゃがみこみ、ハリーの頭をわしわしと嬉しそうに撫でるいっくん。



「きゃん!」



 ハリーが「もちろん!」とでも言うように、返事をした。


 いっくんのほっぺたをぺろぺろ舐めて、それから私の方に向き直ったハリー。


 私もしゃがむと、ほっぺたの涙を舐めてくれた。



 すぐ側に、ハリーを撫でているいっくんの端正な横顔。



 やっぱり、私は、いっくんが好き。



 逢ったら沢山話したいことがあるはず。



 なのに、今は胸がいっぱいで言葉が出ない。





 いっくんが、私を見つめた。



 至近距離。




 見つめあう。




 やっぱり、好き。




 また、涙が溢れた。



「泣かないで、ひかりちゃん」



 あの頃と同じ、泣き虫な私と優しいいっくん、無邪気なハリー。



 15年分の


 好きを


 自覚した。






< 86 / 200 >

この作品をシェア

pagetop