Kiss me please!

・想い

翌日。

一応待ち合わせ場所で落ち合ったものの、お互い気まずい雰囲気で下を向いている。

琉にすれば望が怒っていると思っているし、望は琉とのキスが嫌ではなくなってきている自分に戸惑っている。

いつまでもこうしている訳にもいかないと思った琉が口を開いた。

「あっ、あのさー、今日はその…治療費払わなくていいからさ…」

顔を挙げた望から視線をそらした。

「昨日…先払いでもらっちまったし…」

「う…ん、わかった」

じゃあね、と背を向けて帰ろうとする望の腕を琉は思わず掴んでいた。

困惑顔で振り返った望をそのまま腕の中に収める。

「琉!?」

望の問いかけにも答えず無言で抱きしめた。





俺、何してんだろなー。

望の後ろ姿を見て帰したくなくなったんだ。

もうすぐ怪我も治る。
そうしたらもう望と会えなくなるんだろうか…。
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