Kiss me please!
「望?」

望の態度を怪訝に思って訊ねると、いつものごとく愛想なく言われてしまった。

「今日の分はこれで終わりでしょ?帰るね」

どーしてそんなにキッパリサッパリしてる訳?
仮にも男と毎日キスしてる女の態度じゃないよな。

離れようとする望の腕を思わず掴み引き寄せた。

「何?」

琉の腕の中にすっぽり収まった望は上目使いで聞く。

「………何でもない」

「そっ。じゃあまた明日ね」

「うん…」

解放された望は琉から離れ振り返る事なく立ち去った。

その後ろ姿を見送りながら琉は呟く。

「俺って…キス下手なのかな…」






一方、琉から離れた望は胸の鼓動が激しく思わず胸を押さえた。

何で琉にこんなドキドキしてんのよ!?

もうすぐ琉の怪我は治る。

そしたらもう琉とキスしなくて済むし会う事もない。
清々するじゃない!

きっと毎日キスして情が移ってるだけ。

ちょっと真剣な目で見られたから驚いただけ。

望は自分にそう言い聞かせた。
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