求愛ラバーズ
LOVE.1 -出会い-
いつ見てもみんなせっかちなんだな…と思う俺は呑気なんだろうか。





両サイドに警備員の立つ自動ドアを潜れば、足音の響くロビー。





「おはようございます。」





なんてニッコリ笑顔で挨拶する受付嬢。





挨拶する暇もないのか、せかせかと殆んどの人はエレベーターに向かう。





「今日はラッキーだな。」


「ああ。朝から葛城さんを見れるなんてついてるよな。」





エレベーターの到着を待っていると、前から朝から似つかわしい声が聞こえる。





朝から葛城さんを見れたなんて本当にラッキーな2人だ。





彼女―――…葛城ありささんは非常勤の社員で週3日しか出社しない。





その3日も朝から出社するわけじゃなく昼間だったり、午後だったりとお目にかかる事があまりない。





少し顔を上げ、エレベーターのパネルを見ると10階から9階に降下したところだった。





ポンポンと肩を叩かれ、首を後ろに捻る。





首を傾けてるからか、耳にかけた髪の毛がハラリと落ちた。





甘ったる過ぎない、キツ過ぎない香りが鼻を掠めた。




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