君に染まる(後編)


「ま…まあ、いいんじゃない?未央ちゃんが大丈夫だって言ってるんだし、これ以上暗くなるのはやめよーよ。せっかく全員集まったんだよ?楽しまないともったいないよ!」



重い空気の中、明るい声で呼びかけたのは昔からクラスのムードメーカーだった子。

その子の言葉でみんなの顔に笑顔が戻ってきた。


「そ、そうだよな!百瀬が俺たちに頼ってきてるなら協力はするけど、別にそういう感じでもなさそうだし」

「うん、ただの恋人同士のケンカだよ。私たちが心配したってしょうがないよね」

「そうそう。私たちにできることは今を楽しく過ごして、未央ちゃんに笑顔で帰ってもらうことだよ!」


お互いがお互いに、まるで言い聞かせるよう声をかけ合う。

質問攻めに合うよりは全然いいけれど、これはこれで申し訳ない。

すごく気を使わせてしまっている。



それでも徐々にいつもの空気に戻っていく様子にホッと息を吐いた。



そっと「ホントに大丈夫なのね?」と声をかけてくれた楓ちゃんに笑顔でうなずくと、「信じるからね」と半ば諦めたように言われ少し罪悪感。




本当は、全然大丈夫なんかじゃない。



あの時先輩は、確かに別れの言葉を告げようとしていた。


今すぐ先輩に会いに行かなければ、家に帰るころには直接告げられなかった言葉がメールで届くかもしれない。

明日には、先輩の彼女じゃなくなってるかもしれない。



そう、思うのに…そうできないのは先輩が何を考えているのか分からないから。


さっきだって、どうして先輩は無理やり私を連れて行かなかったのだろうか。

いつもの先輩なら高杉くんを殴り倒してでも連れて行きそうなものなのに、そうはせずまるで私を高杉くんに預けるようにして帰って行った。


何かが違う。

いつもの創吾先輩じゃない。

イブの日のことと関係がある?もしかして、またお兄ちゃんに何か言われた?



気になる…何があったの?何が先輩を変えてしまったの?


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