君に染まる(後編)


先輩の性格上、キスしないと本当に離してくれなさそう…。


でもこんなとこで…ううん…場所の問題以前に、自分からキスなんて……。



どうすればいいのか悩みに悩んだ結果、あたしはそっと先輩の肩に手を置いた。


若干ピクッとした先輩にかまわず顔を近づけ…。




チュッ

「はっ!?」



キスをした瞬間、先輩が不満の声をもらす。


「んだよ…こっちかよ……」


眉間にしわをよせながら自分の頬を触る。


「だって…」


背伸びの体制から元に戻ろうとすると、先輩があたしの腰に手をまわした。



「仕方ねぇな……」


ボソッと呟くと、あたしのあごを掴み唇をふさぐ。


離さないようにしっかりと腰を抱かれ、身動きがとれない。




なんだか…いつもより長い気が……。


息が苦しくなり先輩の体を押すと、唇が少し離れた。



「…美紅達に花もらったんだろ?」



少し息を整えてからこくんとうなずく。


あたしの頬を両手ではさみ、おでこをくっつけると小さく笑った。


< 69 / 268 >

この作品をシェア

pagetop