出世魚
「じゃぁ、ココに捺印してもらって・・あと、ここに名前 お願いします。」

契約書をクルリと回し、ペンを差し出す彼。

(指…長っ。)

べつに手フェチとかではないのだけれど、妙に彼の手に惹かれた。

指定された場所に名前を書き、彼にペンを返す。

「とりあえず今日のところはこれでOKです。」
「はぁ。」
「明日は…11時に来て下さい。」
「分かりました。」

ペンを内ポケットにしまい、立ち上がる彼。

同じタイミングで私も立ち上がる。


背が高いということも この時知った。
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