出世魚
売り場の死角でぼーっとする。

平日の午後は客数も少ないので

何時間でもこうしていられる。

はぁ・・・泣きそぅ。


「どうした?」

その声で我に返る。

「あっ、久江さんっっ。いやっ、別に何もないです。」

動揺しているのまるわかり。

ふーんっという仕草をして、
彼は私の横を通り過ぎる。

でも、


通り過ぎながら

私の頭をポンポンと優しく叩き、

「元気ないぞ。」

そういって売場に戻る彼。


・・・また泣きそうになる。
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