約束‐ヤクソク‐



 数日の後、あたしは外出許可を出された。





 そのことを凌哉に言うと、あたしをどこかへ連れ出してくれた。





 

 ずっと家の中に閉じこもっていて、本当に退屈だった。





 通院は少ししていたから、全く外に出なかったわけではないが





 車での移動だったため、必要以上の外出は許されなかった。









「凌哉、ここどこ?」




 よく分からず、キョロキョロするあたしを見て、凌哉は寂しげな表情を浮かべた。




「やっぱ梨依、覚えてねーよな・・・」




「え・・・?」




「ここ、俺らが出会った場所」




 白い歯を浮かべて笑いながら言う凌哉にあたしは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。



「ゴメンね・・・」




あたしが肩を落とすと、凌哉はハッとして、慌てて言った。




「梨依は悪くねーよ。

 それよりさ、新しく覚えていってくれれば良いし。

 なっ?」




 あくまでも笑顔で凌哉は言うが、やはりその顔は辛そうだった。






 なんであたし、こんなことに……




 凌哉との大切なモノを忘れて、凌哉を傷付けてしまうくらいなら……




 いっそのこと









 全て消えてしまえば良かったのに












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