約束‐ヤクソク‐

 そういえば梨依との出会いは、雪がちらつく寒い日だった。




 その時の梨依は誰かを待っているとこだったらしく、一人震えていた。




 最初は気にも留めなかったのだが、



 
 手袋もマフラーもしておらず




 今にも倒れてしまいそうに見えた。



 
 だから思わず声を声をかけてしまっていた。




「こんなとこでつっ立ってると風邪引くぞ」




 突然響いた声に驚いたのか、少し肩を震わせ



 
 声のする方へそっと顔を上げた。




「あ・・・なた・・・は?」




 寒さでカタカタと歯を鳴らしながら、静かに訊ねてきた。







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