約束‐ヤクソク‐

 さっきまでは、あんなに真っ暗な世界に居たのに、今度は真っ白だ。




 あたしの周りには、男の人と女の人がいた。




「ここ・・・は、どこ・・・?」





 声にならないような声だった。




 先程から、誰もが"梨依"と呼んでいる。




 それは自分のことなのだろうか…?




 しかしそれは肯定出来るものではなかった。




 誰の名前なのか…





 いや、それよりも……







  ――自分が誰か分からない。










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