フェイクハント
 しばらく経つと、秀樹が戻ってきた。


「雪絵の奴、何処行ったんだか。典子と涼は大丈夫だったか? 最近物騒だからなぁ」


「今、遥の事件のこと話してたのよ。警察はお通夜の列席者を、一人一人当たるとも云ってたわ」


 心配した秀樹に典子がそう返すと、涼が言葉を続けた。


「でも変じゃない? 遥はチェスターに殺されそうになった時、悲鳴を上げなかったのかしら? だって、いくらお通夜で列席者が多いといっても、あれだけたくさんの人がこの屋敷にいたわけだから、悲鳴を上げれば誰かしらに聞こえるんじゃないかな?」


「確かにそうだよな。あっ、でも後ろから襲われたとしたら、悲鳴を上げる余裕なんてなかったんじゃねぇか」


 秀樹が話し終わると同時に、涼の携帯が鳴った。電話は海人からだった。

 篠田に、今日は一度帰って休んでこいと云われたので、着替えをして休憩してから署に戻ることになったとの知らせだった。

 涼はそのことを、典子と秀樹に告げると、秀樹も仕事のことで、もう一度会社に行く必要があると云うので、一緒に典子の家を出ることになった。


「典子、何かあったらすぐ電話するのよ! それにちゃんと身体休めてね。お葬式もあるんだから!」


「ちゃんと戸締りしろよ! じゃ葬儀でな!」


 涼と秀樹は典子に言葉をかけると、「ありがとう」と一言云い、典子は疲れきった顔で微笑した。

 そして、秀樹は会社に向かい、涼は警察署に海人を迎えに行った。

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