わたしと保健室と彼~4つのお題+α


 二人で寝てもまだ余裕のあるキングサイズのベッドに、一人寝かされる。

 枕元に腰掛けあたしの髪を優しくすく先生に、目頭がじんわりと熱くなった。

 男の人なのに、綺麗でスベスベしてしなやかな先生の、手。
 つき合うようになってから少しだけ伸ばした髪を、スルリと撫でる。

 寝返りを打つフリをして、反対を向いた。


「……ねぇ、先生」

 顔が見えないこの状態なら、訊けるかも。


「なんです?」


 柔らかいアルトの先生の声が、耳に響いた。

 ゴクンと小さく唾を飲んで、いざ、と口を開く。


「あの――、……どうしてそんなに、あたしの体調に敏感なの?」


 口から出てきたのは、驚く程的外れな言葉。

 あたしの、ばか。意気地無し。
 訊きたいのは、こんな事じゃないのに……


 髪を撫でていた手が、ピタリと止まった。


「――私には、……妹が、いたんですよ」

 聞こえた先生の声は、心なしか力がなく思えた。


「妹…?」

 意外にも深刻な答えに、先生へと向き直る。

 先生から家族の話を聞くのは、初めてだった。


「はい。小学生の頃、病気で亡くなりましたが…」


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