キライ
俺が俯いてるのを気落ちしてると思ったのか香奈は慌てて言う。

「そのっ…廉とキスしたり抱き締められたりは全然嫌じゃなくて…えっと…嬉しかったりするし私もしたいなぁって思うし…って私何言ってんの…」

顔を赤らめてる香奈の手を握った。

「廉?」

「ごめんな。香奈の気持ちに気付かずに自分の事ばっかでさ…」

香奈は微笑んで首を振った。

「痛かった?」

そう言ってさっきつねられて赤くなってる俺の頬にそっと触れる。

「痛くない」

完全な強がりだけど、ここは痛いとか言うとこじゃないだろ。

「ウソつき」

香奈にはバレてる。

「あんま近寄ったらまた襲うぞ」

「そしたらもう片方もつねってあげる」

俺の不純な気持ちなんて香奈にはお見通しのようだった。





香奈を送って部屋に戻ると机にはゴムがぽつんと置かれていた。

「おまえの出番はまだ先になりそうだ」

再び引き出しにしまわれたゴム。

いつになったら出番が来るのかはわからないけど。

ってその頃には使いもんになるのかな、コレ…。
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