僕の唄君の声



―――――――…‥


全ての授業が終わり、部活の支度をする人や帰りに寄る場所を相談してる人、様々な人が教室でザワザワとしていた。


「早く部活始まらないかな!」

「はいはい。」


放課後。華己は帰りの支度を済ませ、ポケットから鏡を出しながら私に言った。今から、朝来た2人組の部活を見に行くらしい。茶髪くんが華己の好きな人で、奏輔(そうすけ)という名前だということだ。


「壱葉、約束忘れてない?」

「忘れてないよ。詩を1つ書き終えたら行く、でしょ?」

「おっけー。じゃ、後で。」

「はいはーい。」


軽く挨拶を交わし、去って行く華己の背中を見ながら、ほっと息をつく。そして、バックを持ち教室を出る。




え、詩を書かないのか?
書きますとも。部活を見に行くとはさらさら思ってないけど。
多分、華己は私が行かないと分かってる。私が詩1つにかける時間と想いは半端ないから。




「さーて、今日は何処で書くかな〜」



今日は教室で書くよりも他の所で書きたい気分だ。



途方もなく、校内をさ迷う。



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