僕の唄君の声



「壱葉ー!大丈夫?」

意識を9割程手放しかけていたとき、いつの間にか私の目の前に移動していた華己に声をかけられた。

「…!な、何が?」

「何って、さっき突き飛ばされてたじゃん。後ろの子に」

「え、そうなの?だからコケたのか、私。」

「気付いてなかったの?まあ、いいや。おいでよ。」


気付いていなかった事実に驚きながら、華己に疑問を投げ掛けると、はあと溜息をつかれながら手を引っ張られた。


「何処行くの?」

「ベンチに決まってる。」

「やだよ、目立つじゃん。」

「大丈夫だよ!私が座るのは奏輔くんのとこだし、アンタが座るのは玲くんのとこ!」


それが目立つって言ってるのに。


「はい到着。」

「やだ、座らない!」

「壱葉ちゃん、そんなこと言わないでよ〜」


突然の第三者の声に驚き、声のした方に向き直る。


「奏輔くん!」

「はろ〜、華己ちゃん。」


私がその人物を認識したと同時に、華己がその人物の名前を叫ぶ。



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