僕の唄君の声


父親がいなかった私は最初は戸惑ったものの慣れるのはとても早かった。


『お父さ、ん…?』

『…あぁ゙?』


慣れるのが早かったと言っても全てをさらけ出すことは出来なくて、少しの壁を気にしていた時期だった。お父さんの雰囲気が少し変だったから声を掛けた。それで絶句した。


『ひ…っ!』

『何だよォ、あぁ゙?』

『な、でもない…で、す…』


振り向いたお父さんは本当に死んだ目をしていて、私を拒絶してた。


『…うぜェ』

その一言は虐待のスタートの合図だった。
お父さんは私の髪の毛を鷲掴みにした。

『…いっ!』

『ハ…ハハ、ハハハハハッ』

バシッ

『…い゙ッ!』


最初の一発。頬に平手打ちをされた。
瞬時に顔はまずいと思った私はお父さんの腕を掴んでいた手を離して顔を守った。


「とにかく見えるところに傷をつけちゃいけないと思った。」

「…なぁ、母親は?」

「夜勤で仕事に出てたの。」

「……二人きり、か」

「そう…。あの場に自分を守るのは自分しか居なかった。」




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