僕の唄君の声



「え、じゃあ手首をずっと握ってたから壱葉ちゃん、玲のこと睨んでたの?」

「まあ、うん。そうだね」


保健室から4人で廊下を歩いていると、前を歩いている奏輔と華己が急に会話をし始めた。ぶっちゃけそんなに睨んだ覚えはない。
ちょっと離してくれないかなーって思ってたくらいだし、うん。


「…なァ。」

「…はい?」

「あれ、何?」


隣から声が聞こえたので隣を少し見上げれば、前を指差してあれは何かと聞いてきた。何って華己と奏輔じゃんとか思いながらも、少し前をキョロキョロしてみる。


「…やっぱりくっついた。」

「……お前も思った?」

「うん。」


玲と2人ではははと渇いた笑いをかましていたら、急に華己に話し掛けられた。


「そうだ。壱葉〜」

「な、何?」

「なんで吃るのよ」


いつの間にか2人がくっついててびっくりしたからですなんて言えるはずもなく、急に話し掛けられてびっくりしたと苦し紛れに言ってみる。


「今日から奏輔くんと帰ることになった!」

「あ、了解。」

「…なんでびっくりしないの」

「手、繋いでるから」


そう、華己と奏輔は手を繋いでいた。玲はそれを指差したのだ。


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