グレーな吐息~せぴあなタメ息③~
あ、車の中で、聴いた曲。
でも、もっと、もっといい。
すごいな、あの人。
ああ、もう、何て表現していいのか分からない。
この感じを、ぱくって開けて、悟に見せたい。
どれだけ、自分がすごいか、分かってもらいたい。
「はああああ」
類は深く長く、ため息をついた。
曲が、転調する。
途切れ目なく、次の曲に移ったらしい。
ステージの上にいる悟が、
まぶしく笑ってる。
『類、こっち』
言って、手を伸ばす。