グレーな吐息~せぴあなタメ息③~

「・・・動揺しなくていいよ。

騒いで楽しんでるだけだから」

悟がそっと類に言う。

「うん」

「大丈夫?」

「うん」

ずっと同じところを繰り返していた前奏が、

先へ進む。

悟が少し下がるのが見えて。

類の中には、何かが降臨した。

モードが切り替わって、歌いだす。


「今のヴォーカルでも、惚れてたわね」

席で、新婦がつぶやいた。

< 37 / 74 >

この作品をシェア

pagetop