姫密桜
真夜中・・・

開く事の無い、鍵の掛かった
玄関のドアの前

床にペタリと座りこむ
私に聞こえる声

「サクラ、お前
 まだ起きてたのか?
 
 そんなところで
 何してる?」

「マ・・・、お兄ちゃん
 
 今日も、帰って来ない
 のかな?」

私の隣に座る、櫂ちゃんは
私の頭を優しく、ぽんぽんと
叩いた。

「俺の前では、マキでいい」

「うん・・・
 
 最近のマキ、変だよね?
 私の事、避けてるのかな?」
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