姫密桜
嘘・・・

私は、開いているドア
槇の部屋を見つめた。

きれいな部屋。

私と櫂ちゃんが誕生日に
プレゼントした時計が確か
ここにあったはずなのにない。

「サクラ、何でもいい 
 早く着替えろ
  
 マキのところへ俺が
 連れて行ってやる」

動けない、私・・・

ううん

動けないんじゃない
動かない、私。

槇が、どこにもいない。

潤む瞳

「サクラ、早く・・・」

「もう、いい」
< 647 / 675 >

この作品をシェア

pagetop