MATO
「ちょっと、話したいことがあるの。ここで話せることじゃないから…。今日は部活を休んでどこかファミレスにでも行って話さない?」
「え?」
「ダメ?」
後藤は少し下を向いてあたしから目を反らして言いづらそうに口を動かした。
「いや…、うれしいんだけど地区予選が近いし俺稽古しないとヤバくて…」
後藤の表情を見ると、本当に切羽詰まっている様子だった。確かにこんな時期に調子が悪いとそうなるか。こう言われるのは想定できた。