=キング of ビースト= 2

観客said




――――――


すごいスピードで走ってきたバイクわ、高級マンションの前に投げ捨てるように止められた。


バイクに乗っていた夜琉わ、急いでマンションを登る。


決して取り乱すことのない夜琉の珍しい光景。



最上階に着くと、自分の家のドアを勢い良く開け、


由莉の寝ている寝室に急ぎ足で駆け込んだ。



そこにわ広未がいて、


「―…夜琉が来たから、帰るわ。」



とすれ違いに帰って行く。


広未なりに気を使ったのだ。


急いできた夜琉わ、少しだけ乱れた息を正ながらゆっくりと由莉に近寄ったー…。



「…っ!!」


目を開けていないのに…、


目からゆっくりととめどなく零れ落ちる涙…。



あまりにも美しくて、儚いー…

消えてしまいそうな程、穏やかに涙を流す由莉。



それわ、脆くも存在している事を表していたーー…



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